空き家対策:問題
今後、増え続けると予想されている、空き家問題には大きく2つの原因があります。
1つ目は、高齢化社会が進む日本全体の問題で、団塊世代の相続が進み、空き家が急速に増加すること、2つ目は、空き家所有者自身が空き家の管理や活用について問題を抱えていることです。この2つの原因を軸に、空き家問題を説明します。
- 原因1:高齢化社会問題
- 原因2:管理や活用の問題を抱える所有者
- 適正な管理が求められる時代に
原因1 高齢化社会問題
空き家が地域で問題視される1つ目の理由は、空き家が増えているということです。2013年の総務省調査によると全国の空き家数は約820万戸、全住宅の7戸に1戸が空き家という状況になっています。これが、2033年頃には空き家数2,150万戸、なんと全住宅の3戸に1戸が空き家になってしまうという民間予測となっています。
賃貸用・・・入居者募集中の空き家。不動産会社が管理
二次利用・・・普段使っていない別荘など。所有者が管理
その他・・・上記の3種類以外。所有者が管理
空き家は4つの種類に分類され、中でも問題になっているのが売りにも、貸しにも出しておらず、定期的な利用がされていない状態の「その他」に分類される空き家(2013年時点で318万戸)です。
「その他」の空き家が問題となってしまうのは、他の空き家に比べて管理する動機が弱い点で、今後急速に増加すると予想されています。
空き家が発生する最も一般的な原因は、自宅を所有する高齢者が老人ホームなどの高齢者住宅や子供宅などに転居することです。今後、団塊の世代を含めた高齢者は急激に増えていきます。それに伴い、空き家もどんどん増えてしまうのです。特に駅から遠い利便性の良くない地域にある住宅街では空き家が一気に増加することが予想されています。
空き家が増えるということは、その地域に住む人が減っているということです。そうすると、その地域の活力が低下するだけでなく、道路や水道、電気といったインフラを維持することが難しくなってしまいます。例えば、ある道路の利用家族数が100家族から50家族まで半減してしまった場合、1家族あたりの道路維持の負担は倍となってしまい、他にも、スーパーや銀行、クリニックなど、生活に欠かせない施設の撤退も起きてしまい、空き家の増加はその地域の魅力を低下させてしまう原因となってしまいます。
対策
日本政府は、2025年には「その他」住宅の空き家を500万戸から100万戸抑制することが目標と掲げています。現状、建物の解体数は年間約50万戸に対して、新築供給が100万戸弱あるため、この流れを逆転しないといけません。
言わば、買い手が減っている状況の中で、活用や解体を促していく必要があるので非常に難しい目標だと考えられております。
原因2 管理や活用の問題を抱える空き家所有者
2015年5月に空家等対策特別措置法が施行されてから、「空き家問題」という言葉を耳にする機会が多くなっています。そして、空き家問題は所有者側の視点ではなく、近隣住民側の視点で語られることがほとんどです。その結果、「空き家は地域の景観や安全を損なうものである」という負のイメージがついてしまいました。
しかし、空き家を巡る問題のほとんどは、所有者が悪で近隣住民は被害者という単純なものではありません。所有者自身も、空き家の管理や活用について問題を抱えていることが多いのです。そして、所有者が抱える問題の多くは、法律や税制、もしくは物理的な問題であることが多いため、簡単に解決することができないのです。
所有者が抱える問題
空き家の多くは高齢者が住んでいた自宅もしくは親から子供たちが相続した実家です。そのため、空き家には家族との想い出が詰まっており、利活用することに抵抗があるという方が多くいらっしゃいます。
それぞれの立場でどのような問題を抱えているのか解説します。
親が自宅を所有している場合
高齢になる親が老人ホームなどの高齢者住宅や子供宅などに転居して自宅が空き家になった場合、自宅を利活用するにはいくつもの壁があります。片づけを始めても昔のことを思い出してなかなか整理が進まなかったり、最期は家に戻りたいと思っていたり、認知症を患い利活用の判断ができなくなってしまっていたりといったものです。たとえ、子供たちから管理が大変だという理由などから売却を勧めても、同意してくれる親は多くありません。このようなことから高齢者の自宅は長い間、空き家状態になってしまっているのです。
<自宅が空き家になってしまっている主な原因>
・いつか自宅へ帰りたい/最期は自宅で迎えたい
・思い出が詰まっている家を売りたくない
・認知症になっているなど利活用の判断ができない
子供が実家を相続している場合
実家の利活用に躊躇するのは親だけではありません。子供たちが相続した後も実家の利活用は簡単ではないのです。子供たちは実家から離れた場所に住んでいることが多く、利活用についてどこに相談すれば良いのか分からないのです。また、利活用について兄弟間で争いになってしまうケースも多々あります。兄弟の一人が売却することを主張し、別の兄弟が売却に強く反対するといった具合です。両方とも親の気持ちを代弁しますが、どちらの主張が正しいとも言えず、妥協することも難しいのが現状です。
<実家が空き家になってしまっている主な原因>
・どこに相談すれば良いか分からない
・兄弟間で揉めている
・実家の活用に強い罪悪感がある
対策
空き家である間は適正管理が必要
このように、自宅や実家が空き家になってしまう理由は十人十色。さらに、利活用ができるようになるまで数年、長いと10年以上かかることもあります。その間、誰も利用していない住宅は一気に傷んでしまいます。老朽化が進むと屋根や外壁などの建材が剥がれ落ちたり、建物が傾いて倒壊する危険性が高まったりとさまざまな問題を引き起こしてしまいます。
また、庭の管理が不十分な場合、生い茂った庭木や雑草が景観を乱すだけでなく、蚊やスズメバチや害獣(ネズミやハクビシン等)を発生させてしまうこともあります。そうならないためにも、所有者は所有する空き家を適正に管理する必要があります(所有者が管理できない場合はその配偶者や子供が代理で適正管理を行う必要があります)。
空き家の管理が行き届いておらず、周辺環境に悪影響を及ぼしてしまっている場合、平成27年5月に施行された「空家等対策の推進に関する特別措置法」に基づき、行政からの指導や処分が行われるようになりました。自身での管理が難しい場合は代行業者に依頼しましょう。
適正な管理が求められる時代に
- 空き家条例/空家等対策特別措置法の制定
- 「特定空家」に対する経済的・社会的制裁が要求され、空き家管理サービスを利用せざるを得ないケースが増加しています。
- 行政の取り組み
- 都道府県は「特定空き家」指定のための指針策定。
市町村は空き家対策の窓口となり、空き家対策の取り組み(空き家実態調査、協議会設置)は、市町村によってかなりばらつきがあるのが現状です。
詳細は所有する空き家の自治体へお問い合わせください。
( NPO法人 空家・空地 管理センター 提供 )
小山市も平成30年より対策に動きだしました。
空家小山市も市民の安全・安心な暮らしと良好な地域環境維持を目的として、空家等に関する対策を総合的かつ計画的に推進するため「小山市空家等対策計画」を策定しています。
「特定空家、準特定空き家など」に指定された場合、解体やリフォーム費用に対して、小山市は、上限50万円の補助などがあります。
空き家対策には、不動産コンサルタントのノウハウが非常に大切になります。
お気軽に相談してください。